日本語「の」の使い方

前の投稿の続きで、「の」の使い方をもう一つ説明します。前回「の」が表す概念は「事」だけではなく、「人」「物」「所」「時」「理由」など色々あると書きました。「の」は文の内容によって、色々なものを表せるんです。

  • (A-2) 赤いくつと黒いくつ、どっちが似合う? → 赤いが似合うよ。

  • わあ、このお酒は強いな。もっと軽いがありますか?

これらの「の」は前に書いてある名詞、「くつ」「お酒」を表しています。同じ単語をくり返さないで、「の」を代用して、文をシンプルにしているのだと思います。次の文は長いけど、同じパターンです。

  • 友だちが映画を見たいと言ったので、昨日ダウンロードしたを一緒に見た。 (*「の」は映画ですね)

ここまでは、「の」は直前に使われた名詞、「くつ、お酒、映画」の代わりですが、「の」はもっと大きなというか、抽象的な単語を表すこともできます。例えば、「もの、人、所、時」などです。さらに、「の」がどれを示しているかは、直前に使われた名詞からわかるのではなくて、文の内容からわかるのです。

  • 私が生まれたは東京です。 (*「東京」という場所の名前があるので、「の」が示す単語は「場所/所」になります)

  • 私が生まれた所は東京です。 (上の文と同じ意味です)

  • 私がロンドンに住んでいたは2000年です。 (*「2000年」という年があるので、「の」が示す単語は「時」になります)

  • 私がロンドンに住んでいた時期は2000年です。 (上の文と同じ意味です)

  • (A-4) このステーキがおいしいは神戸牛を使っているからです。 (*「~からです」があるので、「の」が示す単語は「理由」です)

  • このステーキがおいしい理由は神戸牛を使っているからです。 (上の文と同じ意味です)

つまり、「動詞を含む部分」+「の」だけを見ても、「の」の意味は推測できません。大切なポイントは後ろの部分、どんなキーワードがあるか、チェックしなければなりません。また、「の」が表している「場所、時、理由」は「こと」ではないので、ここで「こと」を使うことはできません。

もう一つのパターンは「見える、聞こえる、見る、聞く、感じる」などの知覚動詞 (perception verbs) を使う場合です。次の文を見てみましょう。

  • 私の家は学校のとなりにあるから、いつも子どもたちが遊んでいるが見える。

  • 彼女がピアノを弾いているが聞こえる。

  • この部屋にだれかがいるを感じる。

このように知覚動詞には「の」を使うことになっています。理由を色々考えても、完全に説得力があるものが書けないので、「の」+知覚動詞と覚えてください。

以上、2回にわたって書いたので長くなってしまいました。読んでくれてありがとう。お疲れさまでした!

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