なさそう v.s. なそう
今回は「~なさそう」と「~なそう」について説明します。『問題な日本語』(*1)という本を参考にします。まず、「ない」を三つに分けます。
時間が ない、食べ物が ない、など:「ない」だけで一つの単語
おいしくない、暑くない、など:形容詞のない形の一部
できない、知らない、など:動詞のない形の一部
1の場合、「ない」+「そう」(様態/seem)は「い」が「さ」に変わります。
明日 忙しいな。あなたと会う時間が なさそう。
この店でみんな たばこを吸っているね。禁煙席が なさそう。
2の場合も、1と同じで、「ない」+「そう」(様態/seem)は「い」が「さ」に変わります。
このケーキは おいしくなさそう。
今日は くもりだね。暑くなさそう。
3の場合は、「ない」+「そう」(様態/seem)は「い」を取って、「そう」を付けます。
このゲームは難しいね。子どもには できなそう。
彼はこの町の人じゃないから、駅の場所を 知らなそう。
これが基本の文法です。ただ、現在は3の場合にも1と2の「~なさそう」を使うようになってきています。そして、それを間違いとは言えず、言葉の変化と考えています。そして、両方が同じくらい使われていると思います。こうなった理由は日本人が「ない」を1、2と3に区別していないからだと思います。私も1、2と3の「ない」を別のものとしてほとんど考えません。
それから、様態 (seem) の「そう」の否定形はもう一つあります。二つの否定形を並べると、
A. 空が 明るくなった。雨が 降らなそう。
B. 空が 明るくなった。雨が 降りそうにない。
Aの文は「雨が降らない」ように見える/「雨が降らない」可能性があるという意味。
Bの文は「雨が降る」ように見えない/「雨が降る」可能性が低いという意味。
私はAとBの意味合いはほとんど同じで、どちらを使うかはその人次第、またはその場次第だと思います。
*1 『問題な日本語』、北原保雄編、大修館書店、2005年