今日のテーマは「こと」です。まず、次の例文を見てください。1と2の違いは何でしょうか?

  1. 私は山田さんを知っている。

  2. 私は山田さんのことを知っている。

二つとも同じ意味だということもできますが、あえて違いを言うなら、1の文は「山田さんの名前と顔など本当に基本的なことだけを知っている」という感じ。2の文は「山田さんの名前と顔に加えて、性格や趣味などより詳しいことも知っている」という感じ。
「こと」の中には山田さんについての色々な情報が含まれています。
好きな人に告白する時は次のように言うのが自然です。

(私は)あなたのことが好き。

一人の人間には色々な要素(性格、考え方、経験など)がありますね。それを「こと」で表しています。「あなたのこと」ではあなたの中身を示しています。

(私は)あなたが好き。

ただ、これも間違いではないし、このように言う人もいると思います。

「人のこと」の他の例は

私のことを忘れないでね。

(私は)彼のことを心配しています。

(私は)彼女のことを思っています。

それから、「こと」の漢字は「事」ですが、最近では漢字→ひらがなへの流れがあるようです。実際に私も次のようにひらがなを使って書きます。

暑い時に水分をとることは大切なことです。

どうしてひらがなを使うのか、その理由はわかりませんが、何となくひらがなを使うのが習慣になっています。きっとこういう人が多いので、漢字→ひらがなへ移行しているのでしょう。

また、ある人は「水分をとること」 はひらがなで書いて、「大切な事」は漢字で書くと言っていました。この違いは「形容詞+事」と、「フレーズ+こと」です。例えば、

  • 形容詞+事: 好きな事、大変な事、悲しい事、など

  • フレーズ+こと: 私が言ったこと、あなたが見たこと、ここで起こったこと、など

ただ、ひらがなでも漢字でもどちらでも正しいので、みなさんの好きな方を使えばいいと思います。

ついでに、「こと」以外で、同じような用法で使われている単語を書いておきます。

私の話を聞いて。

彼は私の所/方に来た。

「私を聞いて」や「彼は私に来た」のように、「私」だけを直接使うことができません。

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