「ところ」と「ばかり」
「ところ」と「ばかり」の違いを説明します。どちらも英語では "just" と訳されることが多いですね。
「ところ」が指すタイミングは、例えば今が午前10:00なら次のような時間の幅でしょうか。
今:10時
今の直前:9時45分~10時
今の直後:10時~10時15分
「9時30分~10時~10時30分」ぐらいもカバーできるかもしれません。
①は「しているところ」、②は「するところ」、③は「したところ」というように、動詞の時制 (tense) を変えます。「ところ」の例文は「"just" を日本語で言うと?」を見てください。
次に「ばかり」の使い方です。
「今」という瞬間を表す単語ではない。
話し手が「ある行為をちょっと前にした」と表す時に使う。
過去のことしか表せない。
例1:友だちと待ち合わせをして、友だちがちょっと遅れてきた。友だちに「ごめんね。待った?」と聞かれて、次のように答える。
5分前に着いたばかりだよ。
例2:日本にこれから3年間住む予定の人に「いつ日本に着いたんですか?」と聞く。その人は次のように答える。
1週間前に着いたばかりです。
この例文1と2を比べると、「着いたばかり」という表現は同じでも、どのぐらい前に着いたかという「時間の幅」は大きく違いますね。もうひと組、例文を提示します。
例3:昼ごはんをたくさん食べた後に、友だちがケーキを持って来た。私は友だちに次のように言う。
30分前に昼ごはんを食べたばかりだから、まだおなかが空いていないよ。
例4:きのうレストランで天ぷらを食べたのに、今日の家での夕食も天ぷらのようだ。私は母に次のように言う。
きのう天ぷらを食べたばかりだよ。
「ちょっと前」というのは明確に時間を決められません。人によって、または場合によって、時間の幅が変わるのです。「ちょっと前」も「ばかり」も人によって、感じ方が違う主観的な表現です。
それで、「ばかり」を使う時は「5分前」や「1日前」などの時の言葉を入れないと、その行為をいつしたかが聞き手にわかりません。
これに対して、「ところ」は、「ちょうど」や「今から」、「さっき」という時の言葉がなくても、動詞が te-formか、dictionary formか、ta-form かを見れば、その行為が今行われているのか、または今の前か、今の後かがわかるようになっています。